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「夢や希望を後世に残す生き方を」 俳優・武道家 藤岡弘、 特別インタビュー

シニアコムカップ、川柳コンテストで審査員をしてくださった藤岡弘、さん。その生き様、人生観について、特別にインタビューをさせていただきました。藤岡さんの熱い思い、最後までぜひお読みください。

子孫に対して何を残すか、何を伝えるかが大切です

藤岡弘、さん(以下、藤岡さん)のヴァイタリティ溢れる人生はすべてのシニア層に元気と勇気を与えるものであると考えます。藤岡さんのヴァイタリティの源、人生観を教えていただけますか?
藤岡さん
「私の人生観ですが、『愛と勇気と夢と自由と感動がないなら、死をくれ』と言うようなものです。私はね、そういった人生を味わいたいんです。愛を持って生きる、勇気を持って前進する、夢を持ち続ける、自由を求めて旅をする、そしてそれらが感動に繋がる。感動なき人生は私にはありえないんです。それがない人生なら死をくれ!と。それが私の人生観であり、生き様なんですよ」
大変力強く、壮大な人生観ですね。ただ、大多数の人が同じようにそれらを抱き続けるのはなかなか難しいかもしれません。
藤岡さん
「絶えず夢を追い、勇気を持って挑戦をする。人生において感動の旅をし、自由を求める。そういったものを見つめ直すだけでいいと思います。それもまた旅ですよ。これらがないとなぜ生きているかわからない気がします。ただ食べて寝るだけの人生はつまらないと思いませんか?」
たしかに生きる意味という部分を考えるとその通りですね。
藤岡さん
「そんなに悲しいことはない。人間として命を与えられたということは、使命を与えられているんだってことを忘れちゃいけません。そして、その使命を果たすためには、大いなる責任が伴うという事を様々な経験を通して感じます。」
自由を求めることに対して責任が伴うと?
藤岡さん
「その通りです。なにやったっていいじゃないか!自由なんだから!というのは自由じゃない。自由には責任が伴うと思います。なにやっちゃってもいいのが自由ならそれはただの暴走です。社会に迷惑をかけ、子孫にも大変な恥をかかせ、泥を塗り、禍根を残し…。そういった自由は先人先祖に対して、血を汚すことになるんですよ」
使命を果たすための責任とはどのようなものですか?
藤岡さん
「子孫に対して何を残すか、何を伝えるかです。心を託していく。血統を絶やさないようにする。血を汚さずに、命脈を絶やさないようにすることこそが責任のひとつですね。今生きているということに対して、多くの犠牲、愛の連鎖、血をつないでくれた先祖の大いなる愛を忘れずに、感謝することですね」
藤岡さんの人生観のテーマのひとつに「愛」がありますが、この「愛」とはどのようなものに向けられているものですか?
藤岡さん
「祖国愛、郷土愛、家族愛、夫婦愛、子どもへの愛、自然への愛、この宇宙への愛、すべてに対しての愛です。愛とは思いやりです。今、その愛がなくなってきているから、世の中がおかしなことになってきています。その大きな要因が人の中にある傲慢、エゴ。人間の欲望にはきりがない、そういったエゴが今の世の中をおかしくしているように思います。それは多くの人が愛を見失っているからではないでしょうか。分をわきまえ、足ることを知る。」

自分が愛する対象に与えたものはすぐに忘れることです

悲しみを背負った子供たちに、笑顔を取り戻したいと支援活動を行っている。(カンボジア)
人間のエゴが要因のひとつであると?
藤岡さん
「人間の邪念、邪心に基づいたエゴ。このエゴのせいで、世界中に争いやトラブルが起きている。理由はと考えると愛がないから。愛さえあれば、解決できない問題は何ひとつないはずだと私は思っています。そして、一番大事なのは見返りを求めないこと。愛したこと、自分が愛する対象に与えたものはすぐに忘れてしまうことが本質ではないかと考えるようになりました。」
支援物資を自ら難民キャンプまで運び、手渡しで届け、友情の種をまいている(トルコ)
与えた愛は忘れろと?
藤岡さん
「それが秘訣です。そうすると、すべての問題が解決しますよ。己の心の中にある傲慢なるエゴ、その化け物のような邪心を断ち切る。物事に対して、ちょっと引いてみることです。すると大いなるものが見えてくる、我々の命がこの瞬間存在しているのは偶然でなく、天が使命を与えてくれた、命を与えてくれたということを。この地球上の70億の人間が、自覚し、感謝の念を持てるなら、どんなに素晴らしいか。自分は生まれてきたいから生まれたんだ、という人はいないでしょう?」
確かにその通りですね。
藤岡さん
「だから感謝しないといけない。一億の精子の中で、たったひとつを選んでくれたわけです。そういったね、大いなることを考えたら、傲慢なことなんて言ってられませんよね。我々の命は、我々の未来に対して、天がちゃんと命運を握っているんです。自分が生きているんじゃなく、天に生かされているんだと。一歩引いてね、謙虚な気持ちになって、想像し、感動して生きていく。これが愛、感謝、そして命を与えていただいたことに対する責任なんですよ」
全てに感謝し、愛を持って、相手をいたわって生きていくことが大切だと?
藤岡さん
「その通りです。相手に感謝し、思いやり、認める。相手を受け入れる尊敬の心、これが今、世の中に足りないから個人と個人が争う、家族が争う、夫婦も争う、相手を思いやり、いつくしみ、奉仕し、愛と尊敬と感謝の念を持って接していれば、争いなんてなくなります」

今は本物の時代、本質の時代になっていることに気づいてください

平和を祈願し、真剣斬演武「四方祓いの儀」を行う藤岡氏(カンボジア・タケオ)
すばらしいお考えだと思います。ただ、なかなか簡単なことではないですよね。
藤岡さん
「たしかに、努力し、頑張らないといけませんね。人生の課題を持たなければいけないし、人間としての存在意義、存在目的、存在動機、存在価値、これらを真剣に考えてみることも大切ではないかと思います。振り返ってみると、私は世界100カ国以上を旅して、様々な戦場、修羅場をくぐってきました…、この目でいろいろな現実を見てきました。戦場での無残な惨状、人が死ぬ様、目の前で地雷が吹っ飛んで人が死んでいく。人の命の尊さを身にしみて思い知らされました」
藤岡さんの中で、それまでの人生観が変わった?
藤岡さん
「なにからなにまで変わりました。私の中の傲慢さも消えていってしまった感じがします。ひとごとじゃない、例えば、明日、間違いなく自分が朝起きると断言できますか? 明日生きているという保障がどこにありますか? このインタビューを読んでくださっている方々皆さん、明日の朝起きることに対して保障がありますか? もしかしたら眠ったままあの世に行ってしまうかもしれない」
それこそが天命だと?
藤岡さん
「そうです、天命です。自分の命というものは天が握っているんですよ。我々はそういった気持ちを持って生きていかないといけないと思いますね。」
それはシニア層だけでなく、若い世代にも言えることですよね。永遠の命なんてないんだと、今この一瞬を大切に生きることだと。
藤岡さん
「おっしゃるとおりです。一瞬一瞬に全力で命を懸ける、それが真剣という言葉なんですよ。真剣はね、私も修行を続けていますが、少しでも心に乱れがあると、抜刀する際、指が2~3本飛んでいってしまいます。」
集中しないと、刀を抜く際に指が切れて落ちてしまうと。
藤岡さん
「そうです。それほど危険なものなのです。だから絶対に心を乱しちゃいけない。心が乱れているときこそ、無心の心でもって刀と接しないと、刀は裏切ります。ゆえに、真剣という言葉が成り立っているんです」
人生も、真剣を振るうくらいに集中しなければいけない?
藤岡さん
「そう、今は本物の時代、本質の時代になっていることに気づいてください。私はそう感じています。これからはどんどんとイミテーション、装飾、メッキは剥がれていく、剥がされていく時代なんです。どれだけ装っても、つくろっても、全部あからさまになってしまう、そんな時代であると私は考えています。なので、地位や名誉、金、物、財は、ある種の一時的満足感はあると思いますが、それよりも個人がこれから何を思い、何をするかが問われていく時代です」
本質の時代をどうやって生き抜けばいいのでしょうか?
藤岡さん
「未来に希望と夢を残すことです。自分だけが楽ができて、自分だけが楽しければそれでいいと生きていたら、未来に対して希望や夢を残せますか? これは簡単な論理です。マニュアルだけの生き方、規則や規範だけの世界に未来はありません。心なき民族は滅ぶしか道はないのです。やはりね、心なんです。心がなかったら、動物と同じじゃないですか。動物は本能で生きています。人間には、他の動物にはないたったひとつのもの、唯一なものがあります。それは真心です。心を大切に生きたいですね」
コソボ難民キャンプにて、紛争で両親を失った子供達。愛情を注ぎ、触れ合いの中で笑顔が溢れた。
ありがとうございます。最後に、あらためてシニアコムの会員、読者にメッセージをお願いします。
藤岡さん
「私が世界を旅して、実体験に基づいて得た教訓みたいな話をさせていただきました。40~50年にわたって、世界100カ国以上を旅して、修羅場をくぐってきました。紛争地、難民キャンプ、子どもたちの阿鼻叫喚を見ながら、餓死した人を何人も見ながら、自分の肌で感じて、目からうろこがこぼれた。これが実感なんですよ。学問で学んだり、本を読んだりして得たものじゃない。自身が体感して気づいた自己発見なのです。人生は死ぬまで学び、修行の旅であると。皆さん、傲慢やエゴを断ち切って、美しい心を持ち、夢や希望を後世に残す生き方をしていきたいものです」
ありがとうございました。きっと読者の心に響いてることだと思います。
藤岡さん
「私も、様々な修羅場の中で実体験から気づき、自己発見したことです。もし、この自己発見ができていなかったら、私はいったいどうなっていたんだろう…、自分はとんでもない人間になっていたんじゃないかって、冷や汗をかくときがありますね(笑)」

PROFILE

藤岡弘、 俳優・武道家

1965年、松竹映画にてデビュー後、青春路線で活躍。
1971年、「仮面ライダー」で一躍ヒーローに。アクションシーンにおいてはスタントを使わず自らこなすアクション俳優として映画界を牽引。
1984年、ハリウッド映画「SFソードキル」の主役に抜擢され、国際俳優として日本人初でスクリーン・アクターズ・ギルド(全米映画俳優組合)のメンバーとなる。
斬(真剣による演武)を世界でも行う武道家としても知られ、柔道、空手、刀道、抜刀道、小太刀護身道他、あらゆる武道に精通。
国内はもとより世界数十ヶ国の紛争地域、難民キャンプにて救援や支援活動を展開。
2016年NHK大河ドラマ「真田丸」に出演が決定。"本田忠勝"という、真田家に敵対する徳川家康を支えた随一の猛将を演じる。
芸能活動50周年を迎え、現在も精力的に活動中。