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美しく活きる。 第17回

シニアコム編集部がMASTER会員さんにライフスタイルをインタビュー。

若いころは辛い思いをたくさんした

お仕事は何をされていたのですか。

中学を卒業してから、旋盤加工を主とする機械工場に住み込みで勤めました。群馬の出身なので地元で就職したのです。その後東京に出て金属プレスの工場で働きました。当時は今ほどプラスチック製品はたくさんなかったので、日本の産業の花形みたいなところがありましたね。10年経ったら独立させてやると社長に言われ、休みもないくらいにがんばって働き、技術的にも誰にも負けないくらいに習得しました。

19歳のころには工場長になりましたが、周りの方たちは30代40代ですから、人間関係には本当に苦しみました。また工場で事故が起きたり、代を継いだ社長とうまくいかず結局独立はできなかったりと、辛い時代でしたね。

転機はいつ訪れたのですか。

31歳のころに本屋で「発明は誰にでもできる」という本をたまたま見つけたんです。おそるおそる買って読んでみたら、のめりこんでいきましたね。子供の頃から物を作るのが好きだったので、なんかピッタリとはまりこんでしまって。

その本の中で、東京日曜発明学校という所があると知ったんです。その頃の私は初対面の人と話をするのがとても苦手で、人見知りが激しかったんです。でも、そういった大勢の人が集まっているところに行かないと勉強できないと思い、仕事をしながら月に2回、日曜日に通うことにしました。初めは、みなさんが発表されたり、質問されたりと非常に活発に討議をされていてうらやましく思いました。ある時、アイデアを発表されている方の説明を聞いて、なんとなく手が上がってしまって、発表作品について私の考えを提案したんです。そうしたら、会場の中がすごくわき上がったんですね。そのアイデアを称賛してもらって、こんなものなの?って初めてその時気付いたんです。それから手を上げることが怖くなくなって、発言できるようになりました。そして、1年くらい経った後でしょうか。その発明学校で司会をやってもらいたいと頼まれたんです。それは現在も継続しています。

脱サラしてアイデアを形にする仕事に

お仕事ではいろいろと御苦労なされたのですね。

40歳を前にしてそれまで勤めた工場を辞めて、印刷関係の会社に転職したのですが、仕事が終わるのが夜中の1時2時というのが続きました。ここにいて、これからも夢を持ってやっていける状態ではないなと思ったんですね。そこで思いきって脱サラして、アイデアや思いを形にする仕事をすることにしました。試作をするのに、機械を使って作るモデル屋さんとか、模型屋さんという所は沢山有るのですが、ハンドメイドですべて作る所は少ないです。そこで企画から営業展開なども含めサポート体制を整えてきました、今もその仕事を続けています。

試作と一言で言っても、物を作る、というだけではないんです。思いを形にするためのアイデアというのは大量に必要なんですね。アイデアを考えついても、それが形にならないのは、アイデアの数が不足しているためなんです。その中間のアイデアをいくつも提供して、完成させてあげるというのが試作屋の本来の仕事ですね。

発明の方は今後どのようにしていくのですか。

来年法人化をして商品展開ができる会社にしようと、動き始めています。試作屋は、発明家が成功を目指して活動をしていく過程で、一度は首を突っ込みたくなる世界なんですよね。後輩たちに育ってもらうためにも、ある程度試作屋の世界から身を引いていかないとと思って決めました。よく、作り方を教えてくださいとか、何の材料が適していますか、という問い合わせをいただきます。それに対しては、できるだけ丁寧にすべてお答えして教えています。法人化して軌道に乗せるためには、少なくとも数アイテム以上を展開できるだけのポジションにいたいですね。従業員も雇用したいですしね。

これから10年で自分の人生の仕上げを

80歳まではその会社をするのですね。

自分のアイデアを形にした商品を作り、世の中に出していくという段階にやっとたどりつかせていただいて、人生一番の難所中の難所に差し掛かっているんじゃないかと思うんですけどね。これから10年間でどこまで基礎ができるか、自分の人生の仕上げをしたい、と思いながらがんばっています。

最終的には15年後に、私が生きさせていただいた人生の蓄積の中で、仕事のこと、幸福のことなど、ささやかな足跡として後世に残せたらいいなと思います。その時代にまだ紙の本が存在するかどうかはわかりませんが、好きな場所で、好きな釣りをしながら、原稿を書いたりして過ごしてみたいなと思っています。

最後にシニアコムを見てくださっている方々にメッセージをお願いします。

「陽はまた昇る」があります。決して沈みっぱなしはない。

人生も同じだと思うんですね。60歳になれば60歳の朝があり、70歳になれば70歳の朝がある。太陽が昇る朝だけではなくて、心の朝というんですかね。常に「陽はまた昇る」と言う思いを心にともしながら、今日を精一杯生き、また次の朝を迎えていきましょう。「陽はまた昇る」のですから。