画像出展:ymobile.jp
そろそろスマホ(スマートフォン)にしようかな…とお考えの方も少なくないと思います。
ガラケーも悪くないですが、携帯電話大手3社はガラケーの通信サービスを終了する予定ですので、遅かれ早かれ、ここ数年のうちにはスマートフォンに切替える必要が出てきます。
スマホに切り替えを検討されている方の中には、文字やボタンが大きく表示される、いわゆる「シニア向けスマホ」にしようとお考えの方もいる事と思いますが、今回は、そんなシニア向けスマホの購入に「待った!」を掛けたいと思います。
NTTドコモ・au(KDDI)・Softbankの携帯電話会社大手3社では、シニア向けのスマートフォンを用意しており、各社のショップ等では、シニアには当然のようにシニア向けスマホをお勧めされます。
| NTTドコモ | au | Softbank |
---|---|---|---|
| ![]() 画像出展:nttdocomo.co.jp |
![]() 画像出展:au.com |
![]() 画像出展:softbank.jp |
サイズ | 70×143×9.3mm | 71×148×8.4mm | 71×143×9.4mm |
重量 | 143g | 155g | 148g |
画面 | 4.7インチ | 5.5インチ | 5.0インチ |
電池 | 2,110mAh | 2,940mAh | 2,800mAh |
防水 | 〇 | 〇 | 〇 |
カメラ | 1,310/500万画素 | 1,200/800万画素 | 1,310/500万画素 |
価格 | 41,184円 | 32,400円 | 48,480円 |
どの機種も、シニア向けという事で、如何にも使いやすそうに見えます。
よくかける電話の通話先を3~5件に番号をふってあり、メール、カメラなど、よく使う機能に絞り込んで、その機能を立ち上げるためのボタンが非常に大きく表示されています。
機能を絞り込んで…と言うのは、言い換えれば、「あまり使われなさそうな機能を落として」という事ですし、機能を落としたスマホなら、多少、性能を落としても充分快適に動作する…シニア向けスマホとはそんなスマホだと考えても良いでしょう。
画像出展:nttdocomo.co.jp
ところが、この「大きなボタン」や、シニアスマホ独自の機能こそが「曲者(くせもの)」で、シニアスマホを使いにくくしている大きな要因になっている事はあまり知られていません。
スマホと言うものは、大きく分けてAndroid(アンドロイド)スマホと、iPhone(アイホン)という2種類あって、各々で操作性や視認性が統一されており、機種変更をしても、取扱説明書など無くてもすぐに使いこなせるのが特徴であり、長所です。
ところがシニアスマホは、視認性を向上されるという名目で表示を大きくし、シニアスマホ独自の機能や操作性等を盛り込んでいるため、スマホが本来持っている「分かりやすさ」を失ってしまっています。
つまり、大きく見やすい画面表示を見て、「これなら使いやすそうだ」と、スマホに買い換えたシニアのユーザーが、シニアスマホを使いこなせずに、「やっぱりスマホは難しい」と嘆いているという、本末転倒な現象が起きてしまうケースもあります。
さらに、子供・孫世代が使っているスマホは、シニアスマホとは違うので、「教えて」とシニアに言われても、何処をどう操作すれば、どんな機能が現れるか、どこから設定するのか等が分からないため、取説を読んだり、ネットで調べるなりしなければならず、それは正直、かなり面倒くさいことです。
例えば、他人が書いた手紙の一部を手直しする事を考えてください。
自分で書いていないので、どこに何が書いてあるか分からず、修正すべき場所を見つけるためには、最初から最後まで読んでみなければなりません。
それは、かなり面倒くさい作業だと言う事はわかりますね、それと同じです。
人から何かを教わる時には、同じモノで教わった方が、教える方も教えやすいですし、教わる方も、実例を見せて貰えるので理解しやすいのです。
画像出展:apple.com
でも、普通のスマホは難しいんでしょ?
いいえ、前述の通り、スマートフォンはAndroid、iPhoneとも操作性や表示方法等が一貫していますので、「取扱説明書」が存在(スマホを買っても取説は付いてきません)しなくても、買い換えた新しいスマホをすぐに操作できるようになります。
逆に、各社のシニアスマホは、世界基準で作られておらず仕様が統一されていないので、次に購入したシニアスマホが、それまで使っていたシニアスマホと同じように使える保証はありません。
そもそも、スマートフォンは日本よりももっと識字率や教育レベルの低い国々も含めて、世界中で利用されていても、使いにくさ・分かりにくさが問題になる事はほとんどないのですから、本来は決して使いにくい機械ではないのです。
それに、操作性が一貫していると言う事は、次にもう1度スマホを買い換えた際にも、操作方法を理解しやすくなるといったメリットもあります。
Androidでも、iPhoneでも、機能や性能に大差はありませんので、どちらを選んでも満足できるはずですが、もしどちらか選ぶのでしたら、子供・孫世代と同じ種類を選ばれる事をお勧めします。
シニアスマホは、見た目で「入りやすい」印象がありますが、実際の利用を考えると、あまりお勧めできるスマホではないかもしれません。
この記事を書いたのは
喜田宗彦 さん
モバイル通信やガジェット関連のフリーライター、本人もiPhone+格安SIMユーザー。
好き:料理・グルメ・猫・ドライブ・温泉・薔薇・家庭菜園等、嫌い:セロリ。