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唐招提寺 御影堂内
第二期障壁画《揚州薫風》を制作中の東山魁夷
神戸市立博物館は、近代日本画を代表する巨匠・東山魁夷が生涯で最も長い年月をかけて制作に取り組んだ唐招提寺の御影堂障壁画を一堂に展示する特別展「東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展」を、 2021 年 4 月 24 日(土)~ 6 月 6 日(日)の会期で開催いたします。
「東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展」見どころ
①10年もの歳月を費やした、東山魁夷の代表作を御影堂の再現展示で公開!
奈良・唐招提寺の御影堂は、1964(昭和39)年に開祖である鑑真和上の千二百年忌事業として、国宝《鑑真和上坐像》を安置するために興福寺旧一乗院宸殿を移築して建立されました。1970(昭和45)年に、《鑑真和上坐像》を納める厨子の扉絵と五室にわたる大障壁画の制作を唐招提寺から依頼された東山魁夷は、七カ月ほどの熟考の末に依頼を受諾し、生涯のすべてをかける気持ちでこの仕事に臨み、10年以上の歳月を費やして完成させました。
本展では、唐招提寺御影堂の内部をほぼ再現する形で障壁画全68面を一堂に展示するため、御影堂の臨場感を間近で味わえます。また、併せて東山魁夷が日本や中国の各地を歩いて描いたスケッチや、幾度も構成を練り直したことがわかる下絵や構図など、完成に至るまでの足跡も紹介します。
唐招提寺の御影堂が一般に公開されるのは、毎年6月6日の開山忌を含む3日間だけです。また、現在御影堂は修理事業を行っており、しばらく公開の機会はありません。障壁画の全てをじっくりと鑑賞いただける貴重な機会となります。
②日本と中国の二つの風景を調和させ、鑑真和上に捧げた全68面の壮大な大作!
困難を乗り越えて来日した鑑真和上の魂に風景を捧げることを決意した東山は、5つのテーマで構成される大障壁画を二期に分けて制作しました。第一期は、五度の渡航の失敗で盲目となった和上が実際に見ることのなかった日本の風景を題材とし、雲煙立ち込める山景《山雲》と大きく波の打ち寄せる海景《濤声》を描きました。ともに青を主調とした彩色画で、「青の画家」とも称される東山の清澄な世界観を感じられます。一方、和上の故国・中国の壮大な風景美を描いた第二期の《揚州薫風》《黄山暁雲》《桂林月宵》では一転してモノクロの世界が広がっています。水墨画をほとんど描いたことがなかった東山が色彩を排した表現に踏み出すきっかけとなった作品で、新境地を拓いた東山の静寂の世界を堪能できます。
③神戸ゆかりの画家-近代日本画を代表する巨匠・東山魁夷
清澄で叙情性を湛えた風景画の数々により、戦後の日本画の世界に大きな足跡を残した東山魁夷(1908‐1999)は、横浜で生まれ、3歳から17歳までの少年時代を神戸(最初は三宮、その後兵庫区西出町)で過ごしました。幼少の頃は家に引き籠りがちで、ひとりで絵を描いて遊ぶのが好きでしたが、中学校の上級になるにつれて、次第に画家になりたい希望が強く湧き始めました。兵庫県立第二神戸中学校(現・兵庫高校)に入学後、画家になることを父に猛反対されましたが、担任教師の助けもあって、「洋画は駄目だが日本画ならば」という条件で、東京美術学校(現・東京藝術大学)を受験。日本学科に入学して日本画家への道が開かれました。
特別展「東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展」招待券【5組10名様】
《唐招提寺御影堂障壁画 濤声》(部分) 1975(昭和50)年 唐招提寺蔵
展示会概要